カテゴリ:スタッフブログ / 投稿日付:2022/10/28 09:00
■壁のヒビ割れ
例えばこんなケースではどうでしょうか。事例を挙げながら考えてみましょう。
築20年程度の木造住宅の現場実例です。中古物件の見学に行ったときに、
壁の何ヶ所かにひび割れのようなものがあるのが気になった。
事務所のスタッフが現地を確認すると、いくつかのひび割れが散見されます。
大事なのは、このひび割れの原因です。どうしてこのようになっているのか。
建物全体を見ながら推定すると、およそ次のようなことが考えられます。
まず、基礎コンクリートの部分には特に亀裂もなく、
また、建物まわりの地盤も沈下の気配がないことから、
建物が沈んで傾いているわけではないと考えられます。
建物全体にも歪みがあるわけではないようです。
これはおそらく建設時に、十分に乾燥されていない構造材(壁の中の木材)を使用したことが
原因と考えられます。木材というものはある程度水分を含んでおり、
15~20%以内であれば大丈夫なのですが、
それを超えてくると乾燥時に収縮が目立つようになります。
現在はこの構造材も十分に乾燥状態にあると思われますので、
これ以上のひび割れの進行はおそらくないでしょう。
ただ、大地震の時に無理な力がかかり、大きな被害が起こる可能性を完全に否定できませんので、
大規模なリノベーションを行う際に耐震補強も併せて対処しておくのがおすすめです。
■天井裏
また、天井裏には、ちょっと大きな課題あり。
木材と木材を緊結し固定する金属のかすがいが、一方向にしか取り付けられていません。
さらに、いくつかのボルトに緩みが見られます。
これはおそらく、工事途中でいわゆる「仮止め」をした後、
しっかり締めるのを忘れてしまったのでしょう。
■対処方法
かすがいを増やすことと、ボルトの増し締めなどを行うことをおすすめしました。
耐震性を考えるなら、さらに補強プレートを増設するのが良いと思います。
これらには費用はほとんどかかりませんが、効果は非常に高いものです。
このように、建物の現状をしっかり把握し、適切な見極めと対応ができるのであれば
「中古住宅を買ってリノベーション」は、コストパフォーマンスを始め
満足の高い買い物になるのです。