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【完全ガイド】不動産登記の住所変更手続き!費用・必要書類・自分で申請する手順
カテゴリ:スタッフブログ  / 更新日付:2025/12/12 09:00  / 投稿日付:2025/12/12 09:00

■【完全ガイド】不動産登記の住所変更手続き!費用・必要書類・自分で申請する手順住宅ローン

戸建てやマンションの所有者が、不動産を取得した時と異なる住所へ引越した場合や、行政による住所表示の変更があった場合、不動産登記簿に記載された所有者の住所変更登記を行わないと、後々さまざまな問題が生じる可能性があります。

この手続きは、ご自身(所有者)で法務局に申請することも、司法書士に依頼して代行してもらうこともできます。本記事では、この住所変更登記の手順、揃えるべき書類、およびかかる費用について詳しくご案内します。

 

 

POINT

・義務化決定、不動産登記簿の住所変更登記
名義人の住所変更登記の方法
住所変更登記の必要書類
登記に必要な費用
・変更しないデメリット

 





                               
 義務化決定、不動産登記簿の住所変更登記
                              
不動産登記簿には、不動産を所有している名義人の情報である住所や氏名が記載されています。

 

■不動産登記名義人の住所・氏名変更登記とは?

不動産登記簿には、その不動産の場所、面積といった情報(地番、家屋番号など)だけでなく、所有者である名義人の住所や氏名も記録されています。これらの情報は公開され、誰でも権利関係を確認できるようにすることで、安全な不動産取引を支えています。

通常、「不動産登記」と聞くと、売買や相続によって所有者が変わる際に行う「所有権移転登記」を思い浮かべるでしょう。これは所有者が変更されるための手続きです。

一方、住所変更登記や氏名変更登記は、所有権を持つ人自体は変わらないものの、その名義人の住所氏名に変更が生じた際に行う手続きです。

例えば、結婚によって姓が変わったのに登記簿上の氏名が古いままでは、登記簿を確認しても「現在の所有者と同一人物か?」の判断が難しくなります。住所についても同様で、居住地が変わった場合は、本人確認のための情報(住所)を最新の状態に保つため、住所変更登記が必要となるのです。


登記簿上の住所変更が欠かせない理由

現在の法律では、住所が移転しても直ちに住所変更登記をしないことに対する罰則はありませんでした(※後述の通り義務化されます)。

しかし、不動産登記は、万が一のトラブルの際に所有者としての権利を証明するために非常に重要です。

また、不動産を売却したり、銀行から融資を受けて不動産に担保(抵当権など)を設定したりする際には、印鑑証明書の提出が求められます。この印鑑証明書に記載された住所が、登記簿上の住所と一致していないと、登記の申請は却下されてしまいます。

これは、不動産登記を管轄する法務局が、申請人が真の所有者であるかを確認する際、「登記簿の住所と印鑑証明書の住所の一致」を本人確認の一つの基準としているためです。したがって、不動産の売却や担保設定を行う際には、その前提として住所変更登記を済ませておく必要があるのです。

将来の売却や手続きに備えるためにも、住所が変わったら速やかに変更登記を行うのが賢明です。


■【重要】住所変更登記の義務化について

 これまで任意とされてきた「不動産登記名義人の住所変更登記」は、2026年(令和8年)4月1日から正式に義務化されます。

変更期限は、住所や氏名の変更が発生した日から2年以内です。

ただし、義務化の施行日(2026年4月1日)を境に、期限の起算日が異なります。


  1. ・施行日より前に
    住所や氏名が変更されていた場合:2026年4月1日から2年以内(つまり2028年4月1日まで)に登記が必要です。

  2. ・行日以降に変更が生じた場合:変更が発生した日から2年以内に登記を行う必要があります。


正当な理由なくこの期限内に変更登記を行わなかった場合、5万円以下の過料が科せられることになるため、十分な注意が必要です。

 


                             
 名義人の住所変更登記の方法
                             

実不動産登記簿の住所変更手続きを行うには、所有者自身が申請する方法司法書士に手続きを委任する方法の二通りがあります。


所有者自身が申請する方法(セルフ申請)

  • ご自身で手続きを行う場合、さらに「法務局窓口での申請」「オンライン申請」「郵送申請」が選べます。

A.法務局の窓口で申請する場合

以下のステップで、不動産を管轄する法務局へ直接出向いて申請します。

  1. 1.新住所地の役所にて転入・転居の手続きを完了する。

  2. 2.新住所地の役所で住民票を取得する。

  3. 3.法務局で登記申請書と必要書類を提出する。


B.郵送で申請する場合

オンライン申請は準備が煩雑なため、時間や手間をかけたくない方、遠方に住んでいる方には、法務局へ出向く手間が省ける郵送申請がおすすめです。

  1. 1.上記「法務局窓口での申請」と同様に、役所での手続きを完了し、必要書類を揃えます。

  2. 2.申請書や住民票などの必要書類を封筒に入れ、表面に**「不動産登記申請書在中」**と記載します。

  3. 3.書留または簡易書留で、不動産を管轄する法務局へ送付します。

  4. 4.登記完了後に法務局から送付される登記完了証を受け取るため、切手を貼った返信用封筒を必ず同封しておきます。

【注意点】 郵送の場合、申請書に誤りがあってもその場で修正ができません。また、オンライン申請は(法務局「不動産登記の申請書様式について」から申請書様式はダウンロード可能ですが)、専門家でない限り事前の登録が複雑すぎるため、実務的にはほとんど利用されていません。

C.オンラインで申請する場合

(※専門家以外の申請者にとってメリットが少ないため、ここでは詳細な手順は省略します。上記の郵送申請が、ご自身で手続きする際の最も現実的な方法です。)

■ 司法書士に手続きを依頼する場合

ご自身で申請する時間が取れない方や、書類作成に不安がある方は、司法書士に依頼するのが最も確実です。

  • ・専門家による代行: 司法書士は、登記名義人の住所変更登記を含む所有者情報変更の登記申請を業務として代理できる専門家です。

  • ・ミスの防止: 一般の方には分かりにくい登記申請書の作成を任せられるため、書類の不備や記載ミスによる申請却下を防げます。

  • ・依頼先: インターネットでお住まいの地域に対応できる司法書士を探して依頼しましょう。(弁護士も法律上は可能ですが、通常は司法書士を紹介されるケースがほとんどです。)

 


                              
 住所変更登記の必要書類
                             
実際の変更登記では、住所と氏名でそれぞれ申請用紙も準備する書類も異なります。


住所変更登記に必要な書類

不動産登記名義人の住所変更を行う際に揃えるべき書類は、主に以下の3点です。

  1. 1.登記名義人住所・氏名変更登記申請書

  2. 2.住所変更の事実を証明する書類(住民票、戸籍の附票など)

  3. 3.不動産の特定に必要な情報がわかる書類(登記済権利証や登記事項証明書など)

特に「住所変更の事実を証明する書類」については、変更の経緯に応じて提出するものが異なります。

住所変更の理由提出すべき書類
転居(引越し)による変更住民票、または戸籍の附票
複数回の転居を経て住所が変わった場合  
住所の繋がりを証明できる戸籍の附票  
町名・番地の変更があった場合住民票、または町名地番変更証明書
住居表示が実施された場合住民票、または住居表示実施証明書

【例外】

行政区画の変更や市区町村の合併によって住所の表記が変わった場合は、法務局側でその変更を公の事実として処理(職権で読み替え)するため、所有者による変更登記申請は不要です。


■氏名変更登記に必要な書類

  • 結婚や養子縁組などで氏名が変わった場合も、登記簿を最新の情報に更新する必要があります。必要な書類は以下のとおりです。

    1. 1.登記名義人住所・氏名変更登記申請書

    2. 2.氏名変更の事実が記載された戸籍謄本(結婚や養子縁組などを証明)

    3. 3.本籍地が記載された現在の住民票または戸籍の附票

    4. 4.不動産の特定に必要な情報がわかるもの(登記済権利証、登記事項証明書など)

    氏名変更の場合も、まずは戸籍謄本で変更の事実を確認します。加えて、申請人が間違いなく本人であることを確認するため、本籍地の記載がある住民票(または戸籍の附票)が必要となります。

    【重要な注意点】 現在、法務局はマイナンバー(個人番号)が記載された住民票は受け付けていません。書類を再取得する手間を避けるため、役所で住民票を取得する際は、必ずマイナンバーの記載がないものを請求してください。

 



                              
 登記に必要な費用
                             

住所氏名変更登記の義務化にともない、気になるのはやはり申請にかかる費用でしょう。

不動産登記名義人の住所または氏名の変更登記に必要な費用は、主に以下の3つの要素で構成されます。

  1. 登録免許税(国に納める税金)

  2. 書類の発行手数料(住民票や戸籍謄本などの取得費用)

  3. 司法書士の報酬(専門家に依頼した場合)

それぞれの費用の目安を以下の表にまとめました。

費用項目金額の目安
登録免許税不動産の個数 $\times 1,000$円(土地と建物の両方なら合計2,000円)
住民票 / 戸籍の附票200〜400円
戸籍謄本450〜750円
登記事項証明書(確認用)480〜600円
司法書士への報酬10,000〜30,000円程度


1. 自分で申請する場合の費用(セルフ申請)

ご自身で手続きを行う場合、司法書士への報酬はかからないため、登録免許税と書類の発行手数料のみで済みます。合計費用は、不動産の数にもよりますが、おおよそ5,000円以内に収まることが一般的です。

2. 司法書士に依頼する場合の費用

専門家である司法書士に代行を依頼する場合、報酬の相場は10,000円から30,000円程度です。これに実費(登録免許税や書類代)を加えると、費用の総額は35,000円程度を予算として見込んでおく必要があります。

依頼先によって報酬は異なるため、依頼を決める前に複数の司法書士から見積もりを取ることをおすすめします。


■コストと時間の選択

自分で申請すれば費用を大幅に抑えられますが、書類の準備や法務局とのやり取りに時間と手間がかかります。多忙な方にとっては、報酬を支払ってでも専門家である司法書士に依頼する方が、結果的に時間的なコストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。どちらの方法を選ぶかは、ご自身の状況に合わせて自由に判断してください。

                              
 変更しない3つのデメリット
                             

住所氏名変更登記の義務化にともない、気になるのはやはり申請にかかる費用でしょう。

 

 ■住所変更登記を放置するリスクとデメリット

既にお話しした通り、不動産登記名義人の住所変更登記は2026年4月1日から義務化されます。しかし、この手続きを怠って放置した場合、具体的にどのような不都合が生じるのでしょうか。

1. 不動産取引が頓挫する

登記簿上の住所が現住所と異なっていると、将来的に不動産取引を行う際に決定的な障害となります。

  • ・売却時の問題: 不動産を売却する際、登記簿上の住所と同じ住所の印鑑証明書が必要です。しかし、引っ越し(転居届の提出)によって旧住所の印鑑証明のデータは失われ、取得できなくなります。その結果、必要な書類が揃わず、売却手続きを進められなくなります。

  • ・担保抹消の問題: 住宅ローンを完済しても、登記簿上の住所が古いままだと、金融機関が設定していた抵当権の抹消登記が行えません。抵当権が残ったままの物件は、買い手が付きようがないため、実質的に売却は不可能です。

もちろん、取引が決定した後からでも住所変更登記は可能ですが、義務化が正式に始まる以上、前もって手続きを済ませておくべきです。

2. 相続手続きが複雑化する

不動産の所有者が亡くなった(被相続人)際、登記簿上の住所が一致していなくても、戸籍の附票を提出することで、被相続人と登記簿上の所有者が同一人物であることの確認は可能です。つまり、住所変更登記をしていなくても相続手続き自体は行えます

しかし、注意が必要です。2009年以前に戸籍から抹消された人の場合、戸籍の附票も一定期間(5年)経過後に廃棄処分されていることがあります。このようなケースでは、登記済権利証(または登記識別情報)を用いて関係性を確認するのが一般的です。

もし、この権利証まで紛失していた場合、相続人全員で上申書を提出するなど、手続きが非常に煩雑で手間のかかるものになってしまいます。変更登記をしないことで、将来の相続人に余計な負担をかけることになる可能性が高いのです。

3. 過料(罰則)が科せられる

義務化の施行日以降、正当な理由なく2年間の期限内に住所変更登記を行わなかった場合、5万円以下の過料が科されることになります。これは刑事罰ではありませんが、「罰金」として5万円を支払わなければならないのは、大きな金銭的ダメージと言えるでしょう。








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一戸建ての固定資産税はいつ下がる? 10年後・20年後の税額を徹底解説!
カテゴリ:スタッフブログ  / 投稿日付:2025/12/05 09:00

■一戸建ての固定資産税はいつ下がる? 10年後・20年後の税額を徹底解説!住宅ローン

不動産を持っている限り、固定資産税の支払いは避けられません。毎年、「この高額な税金は、家が古くなってもずっと同じ額なのだろうか?」と疑問に感じている方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、一戸建てに焦点を当て、建物の築年数に伴って固定資産税の額がどのように変動し、何年目で税負担が軽くなるのかを、具体的な例を挙げて解説します。

 

 

POINT

・戸建ての固定資産税は下がるまで何年?
固定資産税をシミレーション
戸建て固定資産税減税措置
固定資産税の支払い方法・納付期限
・負担を増やさないようにするためには







                               
 戸建ての固定資産税は下がるまで何年?
                              
固定資産税は経年劣化によって、毎年下がっていきます。

 

まず結論をお伝えすると、固定資産税は建物の老朽化(経年劣化)に伴って、年々減少していきます。

では、具体的にどのような基準でこの税額が決定されるのでしょうか。この先で、固定資産税の基本的な仕組みを詳しく解説していきます。


■固定資産税とは

固定資産税は、あなたが所有する不動産償却資産(事業用の機器など)にかかる地方税です。基本的な情報を表にまとめ、その仕組みを解説します。

項目詳細
課税対象   土地: 宅地、農地、山林など
家屋: 住宅、店舗、倉庫、工場など
償却資産: 事業用の車両、船舶、機械、PC、備品など
納税義務者毎年1月1日時点で、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人    
税額の計算固定資産評価額×標準税率1.4%
評価時期3年ごとに、すべての課税対象の評価額を見直し(評価替え)
納付期限原則として年4回(6月、9月、12月、翌年2月)※一括納付も可
納付場所市町村の納税窓口、金融機関、コンビニ、モバイル決済など
出典(東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」などを参照)


この税金は、毎年1月1日に所有者と認められた人に対し、年4期に分けて納税通知書が送付されます。税額は、市町村によって定められた固定資産評価額標準税率1.4%をかけて算出されますが、この評価額は3年に一度見直されます。

また、固定資産税には特例措置が設けられており、要件を満たせば税額が大きく軽減されます。さらに、建物の場合は築年数の経過に応じて評価額が調整され、年々税額が下がる仕組みになっています。

■建物は経年劣化で価値が下がる

 年月が経てば、建物は必然的に老朽化していきます。この老朽化によって建物の価値が減少するため、固定資産税の評価額も、その劣化の程度に合わせて修正されます。

この修正に用いられる割合は「経年減点補正率」と呼ばれ、建物の構造体ごとに具体的な基準が設定されています。

一戸建ての構造には、主に木造、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)があり、それぞれ建築コストや耐久性が異なります。

構造ごとの詳細な補正率と経過年数については後述しますが、まずは以下の重要なポイントを理解しておきましょう。

  • ・年数が経つほど、補正率は小さくなる(=評価額が下がる)。

  • ・補正率は、再建築費(木造の場合)や鉄骨の厚み(鉄骨造の場合)によって変わる。

  • ・どれだけ古い建物でも、補正率がゼロになることはない(評価額がゼロにはならない)。

  • ・この補正の対象は建物だけであり、土地は劣化しないため評価額は調整されない。

    ■固定資産税は1年目から下がる

建物の固定資産税評価額は、築1年で早くも**新築時の80%まで下がります。その後も評価額は年々減少し、例えば最も評価が下がりやすい区分の木造住宅では、築15年最低評価の20%**に達します。

ここでは、経過年数ごとの補正率(新築時評価に対する割合)を5年刻みで、築20年までまとめてみました。(※実際の経年減点補正率は毎年細かく設定されています)

経過年数  木造鉄骨造鉄筋コンクリート造
1年新築時評価の80%新築時評価の80%新築時評価の80%
5年新築時評価の62~67%  新築時評価の64~67%  新築時評価の68%
10年新築時評価の41~59%新築時評価の49~60%新築時評価の63%
15年新築時評価の20~51%新築時評価の34~53%新築時評価の59%
20年新築時評価の20~43%新築時評価の20~47%新築時評価の55%  


■補正率の最低ラインについて

どの構造体でも、経年減点補正率の**最小値は20%**と定められています。一度20%に達すると、その後は年数がどれだけ経過しても、評価額がそれ以上下がることはありません。

ただし、この20%に到達するまでの期間は、構造や建物のグレードによって大きく異なります。

  • 木造では、1平方メートルあたりの**再建築費(建て替え費用)**の区分によって、補正率の適用期間が変わります。

  • 鉄骨造では、骨格材(鉄骨)の厚みによって区分が分かれます。

以下に、補正率が20%に達するまでの目安となる年数を構造別にまとめました。

構造体補正率が20%になる経過年数  
木造(1㎡あたりの再建築費55,120円未満)15年以上
木造(1㎡あたりの再建築費〜86,320円未満)20年以上
木造(1㎡あたりの再建築費〜133,120円未満)  25年以上
木造(1㎡あたりの再建築費133,120円以上)35年以上
鉄骨造(骨格材3mm以下)20年以上
鉄骨造(骨格材4mm以下)30年以上
鉄骨造(骨格材4mm超)40年以上
鉄筋コンクリート造60年以上

(出典:総務省|第2章 家屋 第1節)

■新築住宅の減税

経年による評価減(経年減点補正率)は新築の建物には適用されません。その代わり、新築住宅の購入者には、税負担を大きく減らすための「軽減措置」が用意されています。

新築住宅の主な削減措置
固定資産税は「建物」と「土地」の両方に課税されるため、それぞれに特例があります。

軽減措置の対象  軽減の内容
建物の固定資産税新築から3年間、固定資産税が1/2に減額されます。(120㎡までの部分) (3階建て以上の耐火・準耐火構造の場合、5年間に延長)
土地(住宅用地の特例)小規模住宅用地(1戸あたり200㎡まで)の課税標準額が1/6に軽減されます。 200㎡を超える部分も1/3に軽減されます。

特に建物の軽減措置は、税額が直接半分になるため、初期の税負担を大きく軽減してくれます。(長期優良住宅の場合は、さらに長期の軽減が適用されます。)

軽減措置の適用条件・手続き

1. 建物の軽減措置の条件

以下の要件を満たす必要があります。

  • 床面積: 居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること。

  • 用途: 専用住宅、または居住部分が全体の1/2以上の併用住宅であること。

この建物の軽減措置は、基本的に申請不要で、市町村から送付される納税通知書に自動で反映されます。

2. 土地の特例(住宅用地の特例)の手続き

土地の軽減を受けるためには、申告書の提出が必要です。通常、新築時にハウスメーカーなどから案内がありますので、手続きを忘れないようにしましょう。

これらの要件から外れる住宅は、軽減措置が受けられないため注意が必要です。




                             
 固定資産税をシミレーション
                             

固定資産税の基本的な仕組みを理解したところで、実際に税額がどのように変わるのか、
 新築、築10年、築20年の3つのケースで具体的に試算してみましょう。


■シミュレーション条件

  • ・土地の評価額: 1,800万円

  • ・建物の評価額(新築時): 2,000万円

  • ・土地の面積: 180㎡

  • ・建物の面積: 120㎡

【税額計算に用いる式】

  • ・土地の税額: 課税標準額× 住宅用地の特例による軽減率(1/6× 税率(1.4%)

  • ・建物の税額: 課税標準額× 経年減点補正率× 税率(1.4%× 新築軽減率(1/2)

※建物の経年減点補正率は、木造(1㎡あたりの再建築費55,120円以上〜86,320円未満)を適用します。

土地の評価額は経年劣化による補正を受けないため、築年数に関わらず税額は一定です。

土地の固定資産税額=1800万円×1/6×1.4%=4.2万円

したがって、土地にかかる固定資産税は4.2万円となります。


■新築戸建ての固定資産税額

ケース❶:新築(築1年目)の一戸建ての固定資産税額
建物の固定資産税額 = 2,000万円×1.4\%×1/2=14万円

新築の建物には、劣化による補正(補正率)は適用されず「1.0」とみなされますが、新築住宅の軽減措置により、最初の3年間は税額が1/2に減額されます。

ちなみに、築1年目の補正率は0.8で、新築からたった1年で評価額が20%も下落します。対して築2年目では補正率が0.75と下落幅はわずか5%です。この比較から、新築時がいかに高い評価額で設定されているかが分かります。


ケース❷:築10年の一戸建ての固定資産税額

建物の固定資産税額= 2,000万円×0.49×1.4%≒13.7万円

築10年では、新築時の1/2に減額する特例措置は終了しています。しかし、建物自体の経年減点補正率が0.49(約0.5)まで下がるため、結果として税額は新築時(軽減措置適用後)とほぼ同水準となります。


ケース❸:築20年の一戸建ての固定資産税額

建物の固定資産税額= 2,000万円×0.2×1.4% = 5.6万円

このシミュレーションで用いた木造住宅(再建築費の区分による)は、築20年で経年減点補正率が最小値の0.2に達します。建物の評価額が大きく減るため、税額は新築時と比べても大幅に安くなります。


■シミュレーション結果の考察

この試算から、新築時の税額が軽減措置で安くなる分、その軽減措置が切れた「築4年目から築9年目」の期間は、相対的に税額が高くなることがわかります。

また、補正率の最小値は0.2であるため、築20年でこの最低ラインに達した建物は、築30年、築40年と年数が経過しても、建物の固定資産税額は5.6万円から変動しません。(※最低値に達する年数は、建物のグレードにより15年〜35年と幅があります。)

 

                              
 固定資産税の支払い方法・納付期限
                             

ここでは、固定資産税の支払い方法や納付期限について、詳しく説明します。


■固定資産税の納付方法について

これまでの固定資産税の納付は、郵送される納税通知書を利用して、金融機関やコンビニエンスストアの窓口で現金払いするのが主流でした。

しかし近年、利便性の向上に伴い、多くの自治体が支払い方法を拡充しています。特に、クレジットカードやスマートフォンの決済アプリを使った納付が急速に普及しています。ご自身に合った方法を選び、納期限までに確実に納付することが大切です。


■【主な納付方法の例(東京都の場合)】

納付方法特記事項
スマートフォン決済アプリ  納付金額30万円まで利用可能
クレジットカード納付納付金額1,000万円未満まで利用可能  
ペイジー(Pay-easy)事前に申込み手続きが必要
口座振替
金融機関・都税事務所窓口での支払い
コンビニエンスストア納付金額30万円まで利用可能
eLTAX(電子納税)

(出典:東京都主税局「税金の支払い」などを参考に作成)

※注意点として、利用可能な支払い方法は各自治体によって異なります。お持ちの不動産がある市町村の公式サイトで、必ず最新の情報をご確認ください。


■納付期限と延滞金について

固定資産税の支払い期限は、毎年地方自治体から送付される納税通知書に明記されています。

納付は、一般的に年4回(6月、9月、12月、翌年2月)に分割されており、一括で支払うことも可能です。納税通知書は、多くの市町村で毎年4月中に発送されます。

納付期限を過ぎてしまうと、期限の翌日から延滞金が発生します。例えば、期日から1か月以内であれば年2.4%、それを超えると年8.7%の延滞金が加算されます(延滞期間によって利率は変動します)。

支払い方法の変更、納付に関する疑問、または税額への異議がある場合は、納税通知書に記載されている自治体の納税担当課に直接お問い合わせください。





                              
 負担を増やさないようにするためには
                             

固定資産税は毎年発生する税金であるため、できるだけ負担を増やさない工夫が重要です。ここでは、税負担を抑えるための方法をいくつかご紹介します。

■クレジットカードや電子マネーを活用する

納付方法としてクレジットカードや電子マネーを選ぶことができます。この場合、固定資産税の支払い額自体は変わりませんが、支払いに対してポイントが付与されます。毎年支払う固定資産税は高額になることが多いため、付与されたポイントを積み立てれば、翌年以降の支払いの一部に充てるなど、実質的な節約につながります。

注意点: クレジットカード納付では決済手数料がかかることがほとんどです。手数料よりも獲得できるポイントの方が多ければメリットがありますが、事前に手数料率とポイント還元率を比較することが大切です。

■固定資産税の対象となる建築物を把握し、設置に注意する

ガレージや物置といった設備も、固定資産税の課税対象となる**「家屋」**と見なされ、税負担が増える可能性があるため注意が必要です。

課税対象となる家屋と判断されるのは、一般的に以下の3つの条件をすべて満たした建築物です。

  • ・外周: 屋根があり、かつ3方向以上が壁で囲われている。

  • ・定着性: 基礎などで土地に固定されている。

  • ・利用状況: 居住、作業、保管などの用途に利用できる状態にある。

たとえば、壁がなく屋根と柱だけで構成されているカーポートは、これらの条件を満たさないため、固定資産税はかかりません。

(参考:「物置にも固定資産税はかかる?勝手に建てたらバレる?詳しく解説します」などの情報も参照)

■軽減措置・特例を最大限に活用する

前述したような固定資産税の軽減措置(特例)は、税額を大きく抑える有効な手段です。

  • ・新築住宅の減額

  • ・住宅用地の特例(土地)

  • ・耐震改修や省エネ改修、バリアフリー改修による減額

これらの特例は自治体ごとに詳細が異なるため、お住まいの市区町村のホームページを確認したり、直接窓口に相談したりして、適用要件を満たしているか確認し、もれなく申請することが重要です。

■滞納を防ぎ、延滞金を発生させない

固定資産税を滞納すると、本来の税額に加え延滞金という余計な費用が発生します。延滞金は納付期限の翌日から発生し、1ヶ月を超えると税率も上がります。単なる「うっかり払い忘れ」でも費用が増えてしまうため、これは避けるべき事態です。

払い忘れを防止するためには、口座振替を設定するなど、納付を自動化する対策を講じることを推奨します。

 

 





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