カテゴリ:スタッフブログ / 投稿日付:2023/01/13 00:00
■相続が発生したら?
まず、相続が発生した場合、何をすればいいのかを説明していきます。
❶被相続人の死亡を知った日から7日以内に、市区町村役場に死亡届を提出。
❷誰が相続人としての権利があるのかを確定させるために、相続人全員の戸籍謄本を集めて確認。
※相続人は誰でもなれるわけではありません。主には子など親族が資格を有することになります。
相続人を確定する場合には、被相続人の生誕から亡くなるまでの戸籍謄本等を確認し、
法律で定める相続順位を基に確定をさせます。
相続は遺言書がない限り法定相続となり、被相続人の配偶者は、
欠格事由がない限り相続人となります。その他相続人に関しては、
被相続人の戸籍謄本を確認し、上記の表にあてはまる相続人が他にいないか確認をしていきます。
❸相続人としての権利がある人は「相続する」か「相続しない」かを選択。
※ただし、選択には期限があり、被相続人が死亡したことを知ってから3ヶ月以内です。
何も手続きをしないで3ヶ月経った場合は「相続する」ことになります。
この「相続する」か「相続しない」かの選択肢について説明します。
パターンA.相続する
相続する場合、下記の2種類の相続の方法があります。
・「単純承認」
・「限定承認」
相続によって、受け取ることができる財産は、現金や、
不動産などのプラスの財産だけではありません。
借金や住宅ローンなどのマイナスの財産も含まれます。
このマイナスの財産も含めて全て相続することを「単純承認」と言います。
一般的に言う「相続」とはこの「単純承認」のことを指します。
一方、プラスの財産の範囲内で、借金などのマイナスの財産を受け取ることを「限定承認」と言います。
パターンB.相続しない
プラスの財産も、マイナスの財産も全ての財産を相続しない場合は、「相続放棄」となります。
ただし、相続放棄したことにより、不動産の相続人がいなくなってしまった場合、
相続放棄をした人がその不動産を管理しなければなりません。
不動産の管理義務を引き継ぐには、家庭裁判所へ申し立てをし、
遺産の管理を行う相続財産管理人を選任する必要があります。
ですが、申し立てには、費用も時間もかかります。
また、相続財産管理人には報酬も支払わなければなりません。
そのため、「相続放棄をしたから、その不動産と関係がなくなる」
わけではありませんのでご注意ください。
この「相続放棄」と「限定承認」の場合は、被相続人が死亡したことを知ってから
3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てをする必要があります。
また、相続税がかかる場合、相続税の申告をしなければなりません。
申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内です。
ただし、基礎控除があり
3000万円+600万円×(法定相続人の数)以下の課税価格の合計額であれば、
相続税はかかりません。
相続税の計算について、より詳しく知りたい方は国税庁のこちらのページをご覧ください。
そうして、相続人が確定したら、遺産を相続人の間で分け合うことになります。
その際、誰がどの財産を相続するか協議する必要があります。これを遺産分割協議と言います。
遺産が分けやすい金融財産であれば、すぐに分けることができるかもしれませんが、
不動産などの分けることが難しいものも含まれるため、
相続人の間でしっかりと協議する必要があります。
■相互したマンションの活用法
■相続し、売る
◐共有分割にして売却する方法
<メリット>
①それぞれの法定相続分を明記した形で不動産登記を行うので、公平な遺産分割ができる。
②不動産登記がなされているので、同意なしに他の共有者が勝手に不動産を売却したり、担保を設定することができない。
<デメリット>
①不動産を活用・処分時には、全員の同意が必要で手続きが複雑化する。
◐代表者が登記名義人になって売却する方法
<メリット>
①代表者1人が登記名義人になるので、売却手続きとなった場合、
その代表者のみの行動で済み、手続きが容易になる。
<デメリット>
①相続不動産の名義人は代表者単独であるため、相続人同士で意思疎通が通りやすい
間柄でないと、予期せぬ行動(名義人による勝手な売却や担保権設定などの法律行為)を
他の相続人は防げることができない。
■相続し、住む
<メリット>
①思い入れのある部屋に住むことができる。
②ローンが完済されている場合はローンの返済なく、家賃を支払わずに住むことができる。
<デメリット>
①築年数が経っていたり、設備の劣化などがある場合は、大幅なリフォームが必要になる。
②相続人が複数人いた場合は、誰の名義にするのか、誰が居住するのかということで、トラブルになる可能性がある。
③固定資産税や管理費、積立金などの維持費がかかる。
④将来的に売却を考える際、今よりも築年数が経つので、資産価値下落のリスクがある。
■相続し、貸す
<メリット>
①思い入れのあるお部屋を手放さないで所有できる。
②家賃収入を得ることができる。
<デメリット>
①築年数が経っていたり、設備の劣化などがある場合は、大幅なリフォームが必要になる。
②リフォームなどの初期投資費用を、家賃収入で回収するまでに時間がかかる。
③築年数が経てば、将来的に家賃低下のリスクがある。
④固定資産税や管理費、積立金などの維持費がかかる。他にも、賃借人が退出した都度のハウスクリーニング費用やリフォーム費用がかかる。
⑤将来的に売却する場合、築年数が経つことで、現在よりも資産価値の下落の可能性がある。
賃借人が入らず、空室が続いた場合、その間は家賃収入が得られない。
※費用が発生する際、相続人が複数人いた場合は、費用は誰が払うか、誰が管理するのかをしっかりと話し合う必要がある。
■まとめ
相続した中古マンションを「貸す」場合も、その物件が賃貸に適しているのかどうかを
しっかり見極める必要があります。
賃貸の場合、立地がとても重要です。例えば、駅から近いマンションや、
ターミナル駅周辺地域などであれば、賃貸の需要も多くあります。
加えて、築年数が浅く、設備が整ったマンションであれば、さらに需要は高まります。
ですが、築年数がかなり経っていると、設備などの不具合も出やすく、
維持管理が困難になりやすい場合があります。
そうなると、所有者にとっても、賃借人にとっても、デメリットになるため、
賃貸の運用は難しいと思われます。
家賃の設定に関しても、築年数が経っていると、
同じ条件で築年数が浅いマンションよりも、家賃が低くなる傾向があります。
他にも、広さや利回りなど、将来を見据えた資金計画をしっかりと立てる必要があります。
以上のように、相続した中古マンションの活用方法のメリット、デメリットを紹介しました。
どのように活用するのかを決めるためには、その物件をしっかり把握する必要があります。
例えば、築年数や、立地、広さ、お部屋の中の状態、売却した場合の売却金額、
賃貸にした場合の賃料、リフォームをした場合の費用などを考慮した上で、
「売る」か、「住む」か、「貸す」かを決めることが重要です。