カテゴリ:不動産を売る / 更新日付:2025/04/25 09:00 / 投稿日付:2025/04/25 09:00

借地権の処分は、一般的に困難が伴うと認識されています。売却にあたっては、高額な対価を期待することは現実的ではないかもしれません。しかしながら、「打つ手がない」と諦める必要はありません。
借地権という権利の性質を深く理解し、市場における適正な価格水準を把握することで、納得のいく借地権の譲渡を実現するために、主体的に行動することが重要です。
POINT
・借地権とは
・借地権売却相場
・借地権は売却しにくい
・売却の流れ
・売却に伴う費用、税金
・3,000万円の特別控除
・借地権売却ポイント
■借地権とは
▶借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または賃借権のことです。
土地の上に建物を築造する目的がない、例えば青空駐車場として利用されるような土地には、借地権という権利は通常発生しません。そして、借地権が設定された土地には、借地借家法という法律が適用されることになります。
1992年に借地借家法が施行されたことにより、それまで同様の役割を果たしていた借地法は、その効力を失いました。しかしながら、旧法である借地法に基づいて締結された契約は、現在においても数多く存続しています。
現行の借地借家法との区別を明確にするため、借地法に基づいて発生した借地権は、一般的に旧法借地権、あるいは旧借地権といった名称で呼ばれています。
■定期借地権
定期借地権とは、定められた契約期間が終了した時点で、原則として契約更新が行われない地上権または賃借権を指します。
この定期借地権と対照的なのが普通借地権です。普通借地権は、旧借地権の考え方を引き継いだものであり、借地人の権利が非常に強く保護されています。そのため、借地人が契約更新を希望し続ける限り、地主側から契約を終了させることは容易ではありません。
借地借家法の制定は、旧借地権下で過度に強くなっていた借地人の権利を調整する目的もあり、普通借地権とは別に、契約期間の満了による確定的な終了を可能とする定期借地権が創設されました。
ここで留意すべきは、定期借地権にはいくつかの種類が存在するということです。具体的には、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権などがあります。ただし、本稿において「定期借地権」と記述する際は、特に「一般定期借地権」を指すものとします。
■借地権売却相場
▶借地権を第三者へ売却するなら、だいたいいくらで売れるのか相場を知っておきたいところです。
借地権は、市場における取引件数が限られているため、適正な価格を判断するための比較対象となる取引事例が乏しい状況にあります。
さらに、借地権の譲渡に際して借地権者から地主に支払われる承諾料や、新たな借地権者と地主との間で取り決められる地代の額は、個々の契約内容によって大きく変動します。このような背景から、「借地権は所有権価格の〇割程度で売却できる」といった画一的な基準を示すことは困難と言わざるを得ません。
■相場の計算方法
借地権の市場価格を正確に予測することは容易ではありませんが、公的な評価手法を応用することで、売却価格の目安となる数値を算出することは可能です。その計算式は以下の通りです。
ここでいう自用地評価額とは、借地権の設定されていない通常の土地(所有権取引の対象となる土地)の評価額を指します。この自用地評価額に、相続税評価の際に用いられる借地権割合を乗じることで、借地権の取引価格のおおよその目安を得ることができます。なお、借地権割合は、国税庁のウェブサイトで公開されている「路線価図・評価倍率表」にて確認することができます。
この算出した価格が、実際の取引価格と完全に一致するとは限りませんが、他に参考となる指標が見当たらない場合には、売却活動を開始する上での貴重な手がかりとなるでしょう。
■マンションの場合
空き家管理代行サービスの利用料金は、サービス内容や巡回頻度によって異なりますが、月額1~5万円程度が一般的です。
正確な料金やプランについては、各サービス提供会社にお問い合わせください。
■借地権は売却しにくい?
▶借地権は売却しにくいと言われますが、なぜなのでしょうか。その理由を考えてみましょう。
■地主の承諾が必要
借地権の譲渡を実行するには、土地所有者である地主の許可が不可欠です。加えて、その承諾を得る際には、一般的に地主に対して承諾料を支払う必要が生じるため、売却にあたっては経済的な負担も考慮に入れる必要があります。
■購入者は地主と地代についての交渉が発生する
借地権の取得希望者は、土地の所有者である地主との間で、毎月支払う地代に関して協議を行う必要があります。このような交渉の手間を煩わしく感じる人も少なくないため、借地権は市場において敬遠されがちであり、結果として売却が難しいとされる要因の一つとなっています。
■借地権売却の流れ
▶借地権付き建物を第三者へ売却する場合は次のような手順で進めていくことが多いです。
■借地権の売買価格を見積もる
前章で解説した手法を用いて、おおよその金額を把握することは可能ですが、より確実な市場価格を知るためには、不動産会社などの専門家に相談し、プロの視点から査定してもらうことが賢明と言えるでしょう。
■地主から借地権売却の承諾を得る
既にご案内の通り、土地所有者である地主の承認を得なければ、借地権の譲渡は実現しません。承諾料の金額についても、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
■売却活動を開始する
不動産仲介業者と媒介契約を結び、売却に向けた活動を開始します。購入希望者による物件の内覧なども予定されるため、事前の準備を怠らないようにしましょう。
■売買契約を締結する
買い手が現れたならば、不動産売買契約を結ぶ運びとなります。この段階で、地主に対して決済の予定日を通知し、承諾料の支払い時期などについて協議を進めることが肝要です。場合によっては、売主、買主、そして地主の三者間で、借地権譲渡に関する正式な契約書を取り交わすこともあります。
■決済、引き渡し
購入者からの残代金が支払われ(決済)、売却主は建物などを購入者へ引き渡す手続きを行います。
■売却に伴う費用、税金
▶借地権付き建物を第三者へ売却したときにかかる費用や税金を確認します。
■契約・決済時にかかる費用
□仲介手数料
不動産会社に仲介を委託して借地権の売買を行う際には、宅地建物取引業法に定められた上限額に基づく仲介手数料を支払うのが一般的です。その報酬額は、売買価格が400万円を超える場合、「売買価格の3%に6万円を加算した金額(別途消費税)」を上限として算出されます。仲介手数料に関しては、不動産会社との媒介契約締結時に必ず内容を確認するようにしてください。
□印紙税
借地権の売買契約書には、印紙税法に基づき収入印紙を貼付する必要があります。
■譲渡承諾料
借地権の売却を地主に認めてもらうために支払う金銭が譲渡承諾料であり、その金額の目安は一般的に借地権価格の1割程度とされています。
■譲渡所得にかかる税金
借地権の売却によって利益(譲渡所得)が生じた場合、その所得に対して税金が課せられます。譲渡所得は、以下の計算式で算出されます。
適用される税率は、借地権の所有期間によって異なります。所有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得となり、税率は39.63%(所得税・復興特別所得税と住民税の合計)です。一方、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり、税率は20.315%(同前)となります。
取得費として認められるものには、借地権付き建物を取得後1年以内に取り壊した際の費用、借地契約締結時に土地所有者に支払った借地権の対価、土地の改良に要した費用、不動産会社への仲介手数料などが挙げられます。
また、譲渡費用には、契約締結時や決済時に発生する費用、そして地主への譲渡承諾料などが含まれます。
■3,000万円の特別控除
「居住用財産の譲渡における3,000万円の特別控除」とは、不動産の譲渡所得から最大3,000万円までを差し引くことができる特別な措置です。この特例は、短期譲渡所得と長期譲渡所得のいずれの場合でも適用条件は変わらず、利用することが可能です。
この特例を活用することにより、譲渡所得に対して課される税額がゼロとなるケースは決して稀ではありません。ご自身が居住している家屋と併せて借地権を売却する際にも、この特例の適用を受けることができます。
■借地権売却ポイント
▶借地権を売却するときのコツ・ポイントとして以下の点を抑えておきましょう。
■借地権は地主に売ることもできる
土地の所有者である地主が、借地権の付いた建物を買い取ってくれるならば、建物と土地の所有権が地主に集約され、借地権は事実上消滅することになります。売却する側から見ると、譲渡承諾料の支払いが不要になるという利点も存在します。
■底地権を取得しておくと売りやすくなる
底地権とは、借地権が設定された土地に対して、その土地の所有者である地主が有する権利を指します。もし借地権者が地主からこの底地権を取得することができれば、借地権者は土地そのものの所有者となることが可能です。
これにより、建物を売却する際に土地の所有権も併せて譲渡できるようになるため、購入を希望する人が増加することは疑いありません。
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